| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(口頭発表) E02-01  (Oral presentation)

インターネット・オークションにおける過去10年間の小型サンショウウオ類の取引実態
Transactions of small salamanders in the past 10 years at internet auctions

*上野裕介, 江口健斗(石川県立大学)
*Yusuke UENO, Kento EGUCHI(Ishikawa Prefectural Univ.)

希少種の取引規制は、世界的に喫緊の課題となっている。その中でも採取による地域個体群の消滅が強く懸念される分類群に、小型サンショウウオ類がある。日本には44種の小型サンショウウオ類が生息し、うち42種が環境省のレッドデータブックに掲載されている。さらに、この10年間に各地の地域個体群が相次いで新種記載されており、現在も分類が進んでいる。また山中の小さな繁殖池に集まり、集団で産卵する種も多いため、成体や卵、幼生の大量採取が行われる危険がある。そこで本研究では、希少野生動物種の取引実態の一端を明らかにするために、個人間取引が盛んなインターネット・オークションに着目し、小型サンショウウオ類の取引状況を調べ、その課題を明らかにした。
調査では、国内の各インターネットオークションサイトでの取引履歴(商品名、価格、落札日、商品画像や説明など)の情報を網羅的にアーカイブし、無償または有償で提供している企業の情報を用いて、2011年1月から2020年12月までにオークションサイトの「ペット・生き物」カテゴリに出品、落札された小型サンショウウオ類(生体)を調べた。
その結果、日本最大級のYオークションでは過去10年間で28種、計4,105件の取引が確認できた。種ごとの取引件数は、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧ⅠB類もしくはⅡ類に指定されているカスミサンショウウオ群が最も多く(962件)、次いでクロサンショウウオ、ヒダサンショウウオ群、エゾサンショウウオの順に多かった。小型サンショウウオ類全体での年間の取引件数は、当初は年200件ほどで推移していたものの、近年、急激に増加し、2020年は年1,100件を超えていた。この急増は、出品回数の特に多い数人の個人によってなされており、地域個体群保全の観点からも早急な対策が求められる。
なお本調査手法は、他の動植物の取引実態調査にも容易に適用可能である。


日本生態学会