| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-356  (Poster presentation)

日本の雑種タンポポの遺伝的多様性 -三倍体雑種と四倍体雑種の違い- 【B】
Genetic diversity of hybrid dandelions in Japan -Differences between triploid and tetraploid hybrids- 【B】

*城垣徹, 特務恩, 名波哲, 伊東明(大阪市立大学)
*Toru JOGAKI, Nueng TE, Satoshi NANAMI, Akira ITOH(Osaka City University)

現在,日本には在来タンポポと外来種のセイヨウタンポポが交雑してできた,三倍体および四倍体の雑種が広く分布している.本研究では,三倍体雑種と四倍体雑種の葉緑体DNAと核DNAの遺伝的多様性を比較することで,それぞれの起源と分布拡大過程を推定した.
三倍体雑種と在来タンポポには共通する葉緑体ハプロタイプが複数あったが,四倍体のほとんどは在来にはない特異なハプロタイプを示した.次世代シーケンスGRAS-Diで得た核DNAの塩基配列で推定した系統樹では,ほとんどの四倍体雑種は一つのグループにまとまったが,三倍体雑種はセイヨウタンポポに近いものから在来タンポポに近いものまで様々だった.Structure解析の結果,西日本の三倍体雑種は西日本の在来(カンサイタンポポ)と共通の祖先集団由来の遺伝子を,東日本の三倍体雑種は東日本の在来(カントウタンポポ)と共通の祖先集団の遺伝子を持っていたが,ほとんどの四倍体雑種は雑種共通祖先の遺伝子のみを持っていた.
以上の結果より,三倍体雑種の起源は複数あり,東日本と西日本起源の雑種の多くはそれぞれの地域に留まっていると考えられる.また,四倍体雑種の起源は単一もしくは非常に少なく,日本起源ではない四倍体が存在すると示唆される.

Triploid and tetraploid hybrid dandelions between native and introduced dandelions have been spread in Japan. To elucidate their origins and spreading processes, we studied the genetic diversity of hybrid dandelions. Genetic diversity was greater in triploids than tetraploids. Multiple origins were estimated for triploids while a single origin for tetraploids. It was also suggested that some tetraploids may not have been originated in Japan.


日本生態学会