| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-368  (Poster presentation)

植栽された2種のサクラにおける開花量の違いと環境要因の関係
Relationships between differences in flowering volume and environmental factors in two planted cherry trees

*馬思亮, 永松大(鳥取大学)
*Siliang MA, Dai NAGAMATSU(tottori Univ.)

 良好な環境があれば、サクラは健全に生育することができる。そのためには、樹木を健全な状態に保つことと個体開花状況に影響を与える要因の把握が必要である。サクラ類の開花量の研究に関しては、中村ら (2000) が隣接木による被陰がヤマザクラの着花状況に悪影響を与えることを報告している。田端 (2020) はヤマザクラの開花に対する立地環境および周辺競争木の検討の先行研究がある。しかし、サクラ類の植栽条件と個体の開花量の差異を種間で比較した例はない。これらの関係が明らかになれば、サクラ類の着花促進や適切な植栽管理を行う上で有用と考えられる。そこで本研究では、鳥取大学鳥取キャンパスに植栽されたソメイヨシノCerasus x yedoensis (Matsum.) Masam. et S.SuzukiとオオシマザクラCerasus speciosa (Koidz.) H.Ohbaを対象として、単木満開時(80%以上が咲いた状態) の個体開花量を目視で評価した。両種の開花量に与える影響を明らかにするため、樹高、胸高直径、樹冠面積、光条件(5段階)、植栽距離、植栽占有面積、土壌硬度、立地分類(3段階)の各項目を調査し、これらを説明変数とした、重回帰分析を行った。2種の個体開花量と8項目指標との相関分析を行い、有意でない説明変数を除去した。予測を最適化するため、ステップワイズ法でモデルの選択を行った。
 ソメイヨシノは145株、オオシマザクラは65株を調査した。重回帰分析の解析から、ソメイヨシノでは樹冠面積と光条件が有意な説明変数であった。オオシマザクラでは樹冠面積、光条件と土壌硬度が有意な説明変数であった。ソメイヨシノとオオシマザクラには光条件と樹冠範囲が重要であり、隣接木や建物との関係に注目する必要がある。


日本生態学会