| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-028  (Poster presentation)

モニタリングサイト1000データを使った中型食肉目ギルドの活動時間重複の広域解析
Interspecific temporal overlaps in mesocarnivore guilds using camera-trapping data from 'Monitoring Site 1000'

*角田裕志(埼玉環境科学セ), 斎藤昌幸(山形大学), 江成広斗(山形大学)
*Hiroshi TSUNODA(CESS), Masayuki U. SAITO(Yamagata Univ.), Hiroto ENARI(Yamagata Univ.)

競合種が同所的に共存する上で資源分割が不可欠である。種間の直接競争が各種の個体群動態に影響を与える食肉目ギルドでは、食物・利用空間・活動時間に関する資源分割が多種共存に重要な役割を持つ。本研究では活動時間に着目し、日本の中型食肉目ギルド内の資源分割を明らかにする目的で、環境省モニタリングサイト1000のカメラトラップデータ(2006~2012)を用いて解析した。解析対象とするデータ抽出プロトコルに合致した64サイト・年のデータから5科8属・種(ニホンアナグマ、アカギツネ、タヌキ、ニホンテン、イタチ属、アライグマ、ハクビシン、イエネコ)に関して計148件の食肉目種ペアを得た。各種の撮影時間を角度変換しカーネル密度法によって日周活動を解析し、続いて148ペアの活動時間の重複指数Dを計算した。次に、重複指数Dに影響する要因として、ペアの体重差、外来種の影響、高次捕食者(イヌ)の影響、各サイトの緯度、人為改変影響との関連性を検証するために、一般化線形混合モデルによる多変量解析を行った。解析の結果、活動時間重複に関して、種間の体重差および在来種・外来種のペアの違いとの関連性が示唆された。種間の体重差が小さい場合に重複指数が小さい傾向にあったことから、体サイズが近い種間では活動時間の分割によって同所共存すると考えられた。また、外来種同士ペアに比べて在来種同士ペアでは活動時間の重複指数が高い傾向が見られたが、特にイエネコが昼夜行性を示したことによって、夜行性あるいは薄明・薄暮性の他種と活動時間を分割したことによると考えられた。


日本生態学会