| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-038  (Poster presentation)

花の混植による送粉者誘引実験―カボチャとウメの送粉者を増やす―
Effect of flower strips on pollinator visitation.

*平岩将良(農研機構 農環研), 江畑真美(和歌山果樹試うめ研), 前田太郎(農研機構 農環研)
*Masayoshi HIRAIWA(NARO NIAES), Mami EBATA(Wakayama JPN Plum Res. Ctr), Taro MAEDA(NARO NIAES)

同所的に生育する植物種間には送粉者を巡る競争(送粉者の奪い合い)だけでなく、送粉者を介したfacilitationが存在することが知られている。facilitationのメカニズムは様々で、多くの送粉者を誘引する花の近くで開花することによる訪花頻度の増加(マグネット効果)や、同所的に開花することによるディスプレイサイズの増加などがあげられる。近年、送粉者が減少し、農作物に安定的に送粉者を供給する技術が求められている。facilitationの効果は、受粉に送粉者が必要な農作物の生産に応用可能かもしれない。そこで本研究では、作物の周囲にハナバチを誘引する花(送粉強化植物)を混植することにより、作物への訪花を促進できるのか実験を行なった。本発表ではモデルケースとして、カボチャ(作物)とゴマ(送粉強化植物)の事例およびウメ(作物)とハナナ(送粉強化植物)の事例を紹介し、作物と送粉強化植物を混植することで、作物への訪花頻度が増加するのか検証を行った。
その結果、カボチャの事例では混植したゴマの量が多いほど、カボチャに訪花するマルハナバチの頻度が増加することがわかった。その効果はカボチャの花数が少ない場合に特に顕著であった。また、ウメの事例についてもハナナと混植することにより、ウメに訪花するミツバチの頻度が増加することがわかった。以上の結果から、送粉強化植物を作物と混植することにより作物の訪花頻度増加につながり、送粉の安定化に有用であることが示唆された。


日本生態学会