| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-058  (Poster presentation)

北海道のカボチャ圃場におけるマルハナバチ類の訪花行動の比較
Comparison of foraging behavior of two bumblebees in pumpkin field in Hokkaido

*熊野了州, 岡田珠緒(帯広畜産大学)
*Norikuni KUMANO, Tamao OKADA(Obihiro Univ.)

カボチャを含むウリ科植物はポリネーターが不可欠な雌雄異花同株植物である.北海道は日本のカボチャ総生産の約50%を占める主要な産地で,受粉の多くを野生の花粉媒介昆虫による送粉サービス依存しており,圃場周辺の花粉媒介昆虫を把握し,昆虫種毎の貢献を評価することは重要になる.本研究では,北海道十勝地方の露地ペポカボチャ圃場で,マルハナバチ相・訪花行動・運搬花粉数・結実・生産種子数を調査した.その結果,セイヨウオオマルハナバチ(セイヨウ)とエゾオオマルハナバチ(エゾ)の2種のマルハナバチ類がカボチャの主要なポリネーターで,特に海外からの導入種であるセイヨウ訪花頻度がきわめて高いことが観察された.また,エゾとセイヨウの行動を比較したところ,エゾはセイヨウに比べ雌花滞在時間が長く,柱頭に残す花粉数も多かった.これらの結果は,エゾとセイヨウで一回訪花あたりの結実への貢献度が異なり,マルハナバチ類の訪花頻度と種構成の双方がカボチャの収量に影響する可能性を示している.講演では,カボチャの種子生産と合わせて,花粉媒介昆虫による送粉サービスを議論する.


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