| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-220  (Poster presentation)

愛媛県生物多様性センターにおける外来生物対応状況
Response to alien species at the Biodiversity Center of Ehime Prefecture

*村上裕(愛媛生物多様性センタ)
*Hiroshi Murakami hiroshi MURAKAMI(Biodiv. C. Ehime)

愛媛県生物多様性センター(以下センター)では、第2次生物多様性えひめ戦略に基づき、県内の外来種対策の推進を図っている。本県の基礎自治体には外来種対策を専門とする部署は無く、主に環境保全部署の一般行政職員が対応を行っており、原則として住民からの情報提供は、担当部署を経由してセンターに届く体制としている。特定外来生物のうち、県内未確認の種や侵入・定着初期段階と考えられる種は、初動対応として現地調査を市町担当者と合同で実施し、併せて今後の方針について協議を行っている。本発表では2017-2020年度の主な対応状況を整理した。
ヒアリ類;2017年7月、コンテナ内部に複数のアリが確認された旨の連絡を受けて現地対応を行い、各主体の役割分担と、今後の対応方針について協議した。一連の対応事例を整理し、市町行政担当者等を対象とした研修会にて情報共有を行った。2020年にはコンテナ内外で約6000頭のアカカミアリが確認されたが、2017年に整理した初動体制がほぼ機能した。
カミツキガメ;遺棄個体が稀に確認される程度であったが、2006年前後に確認された地点で2017年に再捕獲されたことを受けて、センターと市、動物園が合同で捕獲調査を実施することとなった。2018年から2020年にかけて24頭が捕獲されたが幼体の捕獲もあり、繁殖の可能性も高い。当該地域は外部から隔離され、比較的狭い水域で、繁殖初期段階と想定されることから、数年間の捕獲を継続することで成熟個体による産卵を抑制し、根絶に近い密度水準を維持するとことを到達目標としている。
セアカゴケグモ;2014年に初確認されて以降、散発的な発生であったが、2019年に37頭の雌成体と複数の卵嚢が同一地点で確認され、県内最大規模の捕獲数であったことから、敷地内に相当数が生息している可能性を踏まえてセンター、市担当課、施設関係者で防除の優先度を含む対策方針を定めた。


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