| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S02-2  (Presentation in Symposium)

南九州地方の森林土壌における炭素放出とメタン吸収
Carbon dioxide and methane fluxes of forest soil in Southern Kyusyu

*高木正博(宮崎大学), 孫力飛(国立環境研究所), 梁乃申(国立環境研究所)
*Masahiro TAKAGI(Univ. of Miyazaki), Lifei SUN(NIES), Naishen LIANG(NIES)

国内での森林土壌によるメタン吸収の観測例は少なく,特に長期間の観測は限られている。本研究では,国内でも温暖多雨な南九州地方の常緑広葉樹林において炭素放出と同時にメタン吸収を継続的に観測し乾燥などの環境要因との関係を明らかにすることも目的としている。試験地は太平洋に面した宮崎平野の丘陵地帯に位置する宮崎大学田野フィールド(演習林)内の標高130mの常緑広葉樹二次林である。炭素放出量の観測は15台の大型チャンバーを用いて2009年から行われているが,2020年8月に同じシステムにメタン濃度計(LI-7810, LI-COR)を設置した。2021年1月までの観測結果から以下のことが明らかになった。根切りされていないチャンバーの二酸化炭素放出量は夏期の約10 µmol m-2 s-1から冬期の約1 µmol m-2 s-1まで低下する季節変化を示したが,メタン吸収量は季節に依らず約4 nmol m-2 s-1程度であった。根切り処理が施されたチャンバーのメタン吸収量は無処理の対照チャンバーより期間の平均で1.2 nmol m-2 s-1程度少なかった。またメタン吸収は空間異質性が大きい可能性が示唆されているが,無処理のチャンバー(n=4)間の変動係数の平均はメタン吸収量(0.19)の方が二酸化炭素放出量(0.28)より小さかった。


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