| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S05-3  (Presentation in Symposium)

コメント:生態系サービスの評価におけるシミュレーションモデルの役割
Comment: Roles and considerations of simulation models in the evaluation of ecosystem services

*亀山哲(国立環境研究所)
*Satoshi KAMEYAMA(NIES)

 生態学に限らず様々な学問分野で「○○モデル」や「○○シミュレーション」という言葉をよく耳にします。例えば、大気陸面過程のシミュレーションには植物の成長や蒸発散のモデルがあり、水資源や水害リスクを評価するためには水文モデルが用いられ、現在注目されてる将来的な気候変動の影響を知るには気候変動予測モデルが必要となります。また、数理モデルの研究結果を実際の地域に適用(社会実装)するためには、時として社会経済モデル等が利用される事もあります。
 この様に様々な場面で、多様なアウトプットが求められるモデルとそのシミュレーションですが、特に生態系と生物多様性の科学において、我々は何により着目しなければならないのでしょうか?
 この問いに対するより先端先鋭的な回答を考える為に、本セッションでは生態系の基盤である水資源と植物生態を対象に、お二人のエキスパートをお招きしました。国立環境研究所の花崎直太氏には全球レベルの水資源を予測する事が可能な「水資源モデルH08」に関して開発情報や最新の展開について解説して頂きます。また海洋研究開発機構の佐藤永氏には植生動的モデル「SEIB-DGVM (Spacialy-Explicit-Individual-Base Dynamic-Global-Vegetation-Model)」を用いた広域スケールの植生の構造と機能に関する発表をして頂きます。専門としては若干異なるお二人ですが、モデルに共通している事は、より広域的なスケールを対象としつつも、空間分解能・時間分解能に関して非常に高い精度で再現計算を行っている事です。これらの先端先鋭的なモデルの適応がセッション参加者の生態学研究の為に、新たな切り口や突破口となり、また更なる議論が展開されることを強く希望しています。


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