| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


シンポジウム S09-4  (Presentation in Symposium)

生物多様性観測の為のモニタリングサイト1000/成果と現状、今後の展望について
Monitoring Sites 1000 project for Biodiversity monitoring: achievements, current status and future prospects

*松本英昭, 田畑早紀, 中村仁(環境省生物多様性セ)
*Hideaki MATSUMOTO, Saki TAHATA, Hitoshi NAKAMURA(Biodiversity C., Min. Env.)

環境省生物多様性センターでは、全国の様々な生態系の状態を定量的にかつ長期的にモニタリングすることで、日本の自然環境の質的・量的な変化をいち早くとらえ、情報発信を行っていくことにより、生物多様性の保全施策につなげることを目的に、2003 年に「モニタリングサイト1000」事業を開始した。
 全国に1,000か所以上の調査サイトを設置し、100 年以上モニタリングを継続することを目指している。2020年12月時点で、1081箇所設定されており、調査地は高山帯、森林・草原、里地、湖沼・湿原、砂浜、沿岸域、サンゴ礁及び小島嶼の8つに大きく分かれている。調査対象も植物、哺乳類、鳥類、魚類や昆虫等多岐に亘っている。また、調査主体も調査サイトや内容に応じて研究者から市民まで幅広い。
 モニタリングサイト1000では、5年を1期として生態系毎にとりまとめて変化の傾向等を解析しており、その成果は、モニタリングサイト1000のウェブサイト(http://www.biodic.go.jp/moni1000/moni1000/)などを通じて、広く一般に公開している。2018年度に第3期を終え、2019年には各生態系における調査結果の概要や変化傾向等を分かりやすくまとめた「モニタリング1000第3期とりまとめ報告書概要版(パンフレット)」を公開した。
 本シンポジウムでは、絶滅危惧種や外来種を含めた生きものの生息・生育状況の変化、高水温や東北地方太平洋沖地震等のイベント発生後の生態系の変化など、15年間のモニタリングで分かったことを紹介するとともに、各生態系の現状やモニタリングサイト1000の今後の展望についてお示ししたい。また、環境省生物多様性センターで実施している他の自然環境調査の実施状況をあわせて紹介し、モニタリングサイト1000を通じて自然環境を長期的に観測することの意義と課題について話題提供したい。


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