| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-239  (Poster presentation)

京都市内における交通量の異なる道路わきの街路樹の光合成機能、気孔の評価
Evaluation of photosynthetic function and stomatal function of roadside trees with different traffic volumes in Kyoto City

*岡本耀介(京都工芸繊維大学)
*Yousuke OKAMOTO(Kyoto Institute of Technology)

街路樹は多様なストレスにさらされている。例えば粉塵の付着は吸光量を減少させ、車の排気ガスの成分には気孔を閉鎖させる作用があるものもある。ストレスが与えられると街路樹が期待されている機能を果たせなくなることが考えらえる。
本研究では交通量の異なる地点の街路樹ついて光合成速度などの生理的特性を評価し、街路樹として適した樹種を選定することの一助とすることを目的とした。
交通量が異なる4採取地点で街路樹の葉を採取した。調査対象としてヒラドツツジ(Rhododendron × pulchrum)とシャリンバイ(Rhaphiolepis indica var. umbellata)を用いた。光合成速度(A400)、気孔コンダクタンス(gs)を測定し、測定したデータからA-Ci曲線を作成し、最大カルボキシル加速度(Vcmax)、チラコイド膜の電子伝達速度(J)及び水利用効率(WUEi)を算出した。また葉の表面の汚れの付着や傷害の程度、炭素安定同位体分別(Δ13C)による長期の水利用効率を算出した。
ツツジでは6月のA400とWUEiは交通量の多い地点で低下し、Δ13Cは高くなっていた。シャリンバイでは6月のVcmax、JとΔ13Cは交通量の多い地点では高くなった。ツツジでは交通量の増加とともに葉の表面の汚れの付着や傷害の程度が高まる傾向にあったが、シャリンバイではそのような傾向が見られなかった。8月の測定ではどちらの樹種でも交通量の増加とともに減少または増加傾向を示すパラメータは見られなかった。
ツツジについて6月の測定で見られた車両の往来の光合成機能への負の影響が、8月の測定では見られず、新芽が成長するにつれて周囲のストレス耐性が高まったことが示唆された。また葉の表面の汚れの付着や損傷はツツジでだけ見られたことから、トライコームがツツジの生理的側面に悪影響を及ぼす要因の一つである可能性が考えられる。


日本生態学会