| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-250  (Poster presentation)

簡易的な双子葉類の葉脈構造および種依存的なグラフ特徴量の抽出
A simple method for extracting leaf vein structure of dicots and identifying species-dependent graph features

*岩政公平(九州大学)
*Kohei IWAMASA(Kyushu Univ.)

植物の葉脈は水や栄養素の輸送,蒸散などに不可欠な重要な構造である.特に被子植物の葉脈は種特異的な階層性のあるネットワーク構造を有し,光合成効率や葉の損傷に対するロバスト性の向上に寄与することが知られている.葉脈の進化や発生,生理機能を理解するには葉脈構造の定量的な評価する方法が必要であるが,先行研究の多くは葉脈の長さや分岐角度といった一次元的な計測やその多変量解析にとどまっている.そこで本研究では葉脈ネットワークを定量的に評価するシンプルな手法を提案する.本手法は大きく3つのプロセスからなる:(1)葉の画像から葉脈箇所に対応するピクセルのみからなる葉脈画像を抽出,(2)葉脈画像をグラフ表現に変換,(3)グラフ表現からネットワーク特徴量の算出を行う.このネットワーク特徴量は植物種固有の葉脈ネットワークを十分に捉えられており,5つの植物種を78.7%の精度で分類することができた.また第二主成分には高次葉脈のループ構造に対応していた.本手法は葉脈のネットワーク構造に着目した定量的な記述子を抽出し,葉脈ネットワークの多様性とその生理的な対応関係の理解に貢献することが期待される.


日本生態学会