| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-272  (Poster presentation)

利用者の訪問動機・満足度に基づく日本の主要国立公園の観光スポットの魅力度評価
Evaluation of attractiveness of tourist spots in major Japanese national parks based on user visit motives and satisfaction

*鈴木海帆, 冨高まほろ, 佐々木雄大(横浜国立大学)
*Miho SUZUKI, Mahoro TOMITAKA, Takehiro SASAKI(Yokohama National Univ.)

現在、日本の国立公園は自然環境の保全において重要であるだけでなく、我が国の主要な観光産業の柱の一つとしても注目されており、国立公園内のツーリズムに対する満足度の向上が求められている。ツーリズムの満足度を高めるためには、利用者のニーズの把握と満足度に影響を与える要因の解明が必要である。これまでは自然公園制度に対する人々の認識や、各国立公園における利用状況に関する調査が行われてきた。しかし複数の国立公園を対象として、公園内の観光スポット間の満足度を比較した研究は少ない。各観光スポット間での訪問動機や満足度の調査・比較を行い、満足度を向上させる要因を探ることで、国立公園におけるツーリズムの満足度をより高めるための具体的な施策を検討するうえで重要な意思決定材料を提供できる。本研究では、オンラインアンケートを用いて、富士箱根伊豆国立公園、瀬戸内海国立公園、上信越高原国立公園の3つの国立公園を対象に、各公園・各観光スポットへの訪問動機と主観的満足度を分析した。調査の結果、公園に関係なく最も多かった訪問動機は「景色を楽しむ」であったことから、日本の景勝地である国立公園の景色が魅力として人々に広く認識されていることが改めてわかった。また、富士箱根伊豆公園では「日常からの逃避」、瀬戸内海公園では「神社へ参拝する」、上信越高原公園では「温泉に入る」「スキーを楽しむ」といった動機が多いという違いがみられ、公園ごとにそれぞれ異なる強みを持っていることがわかった。さらに同じ訪問動機でも観光スポット間で主観的満足度が異なることが明らかになった。本発表では、更に主観的満足度の違いを生み出す要因(周辺の保護区の階級など)に検証した結果を紹介する。


日本生態学会