| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-371  (Poster presentation)

ニホンミツバチにおけるShaker遺伝子型の違いが活動量と胸部体温に与える影響
Effects of Shaker genotypes  on activities and thoracic temperatures in the Japanese honeybee

*田村桃歌(東北大学), 若宮健(広島大学), 丸山真一朗(東北大学), 河田雅圭(東北大学)
*Momoka TAMURA(Tohoku Univ.), Takeshi WAKAMIYA(Hiroshima Univ.), Shinichiro MARUYAMA(Tohoku Univ.), Masakado KAWATA(Tohoku Univ.)

日本固有の野生種ミツバチであるニホンミツバチ(Apis cerana japonica)には、北部(東北・関東・中部地方)、中部(中国地方)、南部(九州地方)の3つの遺伝的に区別できる集団が存在する(Wakamiya et al. submitted)。Wakamiya et al. (submitted)は、これら3集団それぞれで集団特異的に選択を受けたゲノム領域の検出をpopulation branch statisticsを用いて検出した。南部集団で選択を受けた領域の近傍にある遺伝子の中に、ショウジョウバエで寿命と睡眠時間の短縮との関連が報告されているshakerが検出された。本研究ではshaker領域内にあるSNP遺伝子型と、行動表現型として平均移動速度(cm/min)と平均胸部体温(℃)、平均休止時間(min)の関係を明らかにすることを目的として行動実験を行った。行動実験ではニホンミツバチの活動の様子をウェアラブルカメラで撮影し、撮影した動画をトラッキングソフトウェアで解析して座標データを得た。得られた座標データを距離データに変換し、平均移動速度と平均休止時間を求めた。また、ニホンミツバチの胸部体温をサーモグラフィカメラで測定し平均胸部体温を求めた。線形混合モデルによる解析の結果、祖先型・派生型ヘテロ個体と派生型ホモ個体の間で、平均移動速度(P = 0.599)、平均胸部体温(P = 0.304)、平均休止時間(P = 0.951)に差がみられなかった。しかし今回の実験では、祖先型・派生型ヘテロ個体が12個体、派生型ホモ個体が7個体、祖先型ホモ個体が0個体と充分な個体数を確保できなかった。サンプルサイズが少ない状況下で、平均移動速度は祖先型・派生型ヘテロ個体の方が大きい傾向、平均胸部平均体温は派生型ホモ個体の方が高い傾向がみられ、今後祖先型ホモ個体を含めサンプルサイズを増やした解析が必要である。


日本生態学会