| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-432  (Poster presentation)

小笠原諸島兄島の植生 ~世界自然遺産の島の現状と各種取り組みについて~
Vegetation on the Anijima Is. of Ogasawara: Current Status and Various Initiatives on a World Natural Heritage Site

*瀬戸智大(横浜国立大学)
*Tomohiro SETO(Yokohama National Univ.)

小笠原諸島は、これまで大陸と陸続きになったことのない海洋島であり、固有の森林生態系が残されている.一方で、小笠原諸島では主にエネルギー源として様々な樹種が植栽・導入され意図的に外来種が持ち込まれた経緯がある.現在では、これまでに意図的に導入された樹種や人の移動や物流等によって非意図的に侵入した種が時間とともに拡大し、固有の生態系を脅かす存在になっており、駆除事業が進行している.しかしどのような立地で外来種が自然度の高い生態系に侵入するのかに関する知見は、母島のアカギなど限られた種で解析されのみで十分ではない.
兄島は、過去の人為的な土地改変があまり起こっていない無人島で、小笠原諸島の国立公園特別保護地区および世界遺産地域として無人島のなかで最大の面積を持つ.特に中央台地部には原生的な森林が残されているほか、山頂には裸岩地が分布している.多くの固有種で形成される乾性低木林に加え裸岩地に生育するムニンタイトゴメやウラジロコムラサキ,裸土壌地に生息するオガサワラハンミョウなど保全すべき種も多い.
 今回は、生態系を改変するリスクのあるトクサバモクマオウ,リュウキュウマツ,ギンネム,キバンジロウ,シチヘンゲ,オオバナノセンダングサなどの外来植物について、乾性低木林生態系のほか裸岩地生態系や裸土壌地生態系を含めた侵入リスク評価地図を作成する.


日本生態学会