| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-169  (Poster presentation)

モウソウチク稈CO2放出の日変化 ―温度と樹液流速度の影響―
Diurnal variation in culm CO2 efflux in a Moso bamboo forest

*片山歩美(九州大学), 安宅未央子(京都大学生存圏), 高梨聡(森林総研), 久米朋宣(九州大学)
*Ayumi KATAYAMA(Kyushu Univ.), Mioko ATAKA(RISH), Satoru TAKANASHI(FFPRI), Tomonori KUME(Kyushu Univ.)

幹から放出されるCO2は森林の炭素循環で重要な要素のひとつであるが、タケの稈から放出されるCO2についてはまだあまり研究が進んでいない。CO2放出を時間的にスケールアップするためには、まず、CO2放出の日変化とその変動要因を明らかにする必要がある。そこで本研究は、モウソウチクの稈から放出されるCO2の日変化を稈齢別に調べ、温度や樹液流速がCO2放出に与える影響を明らかにすることを目的とした。そのために、モウソウチクの稈を3つの齢グループ(今年発生した稈:Current、比較的新しい稈:New、比較的古い稈:Old)に分け、それぞれの稈から放出されるCO2放出を自動計測した。同時に稈の樹液流速も測定した。Currentグループの稈のCO2放出は非常に高く、日変化も明確で、温度と時計回りのヒステリシスを示した。一方、NewおよびOldグループの稈は、日変化が明確ではなく、反時計回りのヒステリシスを示した。これらのヒステリシスは呼吸活性と樹液流速度に起因すると考えられた。Q10はCurrentグループの方が高かった。これらの結果から、稈齢はCO2放出量だけでなく、温度応答にも影響を与えるため、竹林の稈からのCO2放出を推定するには、稈齢を考慮することが必要であることが示唆された。


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