| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-178  (Poster presentation)

チョウ類群集を指標とした兵庫県朝来市の自然環境の評価と活用
Environmental evaluation using butterfly community in Asago City, Hyogo Prefecture

*波多野哲哉, 内藤和明(兵庫県立大・地域資源)
*Tetsuya HATANO, Kazuaki NAITO(RRM, Univ. of Hyogo)

チョウ類群集を指標とした兵庫県朝来市の自然環境の評価と活用
波多野哲哉・内藤和明


チョウ類は種ごとに異なる食草を持つなど植物と密生な関係があり植生の状態を評価する指標ともなる(生物多様性センター・日本自然保護協会 2015).本研究では,兵庫県北中部の中山間地域に位置する朝来市内に8か所の調査地を設定し,チョウ類群集の定量調査を行い自然環境の評価を試みた.各調査地に開放地,林縁,林内をそれぞれ500m以上含むルートを設定し,2020年4月から11月にかけて計16回の調査を行い,ルート上に出現したチョウの種名および個体数を記録した.同時に,チョウの吸蜜行動を確認しチョウ種と吸蜜植物を記録した.全ての調査結果を合わせると計72種14,111個体のチョウが確認され,54種のチョウによる計102種の吸蜜植物の利用が確認された.チョウ類の確認状況を基に各調査地毎に多様度指数および環境階級存在比(田中 1988)を算出した結果,本調査地における多様度指数は他地域で実施された先行研究と比較して中程度で,里山的および農村的な環境を指標する種をバランスよく含むことが明らかとなった.また,8か所の調査地の中では,圃場整備や施設工事などの土地改変を受けていない調査地においてチョウ類の多様度指数がもっとも高かった.この調査地は吸蜜植物の種数が多く,一方でそれに占める外来種の割合が低いことが特徴であった.ただし,他の調査地では外来種も吸蜜植物として一定の役割を果たしていることが確認された.

(601文字,制限文字数800字)


日本生態学会