| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-183  (Poster presentation)

インドネシア、ジャワ島のチーク植林適地の気候変動影響評価 【B】
Climate change impact assessment of teak plantation sites in Java, Indonesia 【B】

*松井哲哉(森林総合研究所, 筑波大学), Eko PRASETYO(Universitas Gadjah Mada), Fajar SETIAWAN(Indonesian Inst. Sci.), WIDIYATNO WIDIYATNO(Universitas Gadjah Mada), Mohammad NA'IEM(Universitas Gadjah Mada), 大橋春香(森林総合研究所), 津山幾太郎(森林総合研究所), 津村義彦(筑波大学)
*Tetsuya MATSUI(FFPRI, University of Tsukuba), Eko PRASETYO(Universitas Gadjah Mada), Fajar SETIAWAN(Indonesian Inst. Sci.), WIDIYATNO WIDIYATNO(Universitas Gadjah Mada), Mohammad NA'IEM(Universitas Gadjah Mada), Haruka OHASHI(FFPRI), Ikutaro TSUYAMA(FFPRI), Yoshihiko TSUMURA(University of Tsukuba)

熱帯アジアの森林は、気候変動に対して脆弱であると考えられている。チーク(Tectona grandis)は熱帯地方で最も価値のある木材の一つであり、インドネシアのジャワ島は世界で2番目に広大なチークの造林地を有している。生産性の高いチーク造林を行うためには、チーク造林に適した地域を把握することが重要である。しかしその重要性にもかかわらず、今世紀末までに起きると予測される気候変動がチーク造林の適地分布に与える影響についてはほとんど分かっていない。そこで本研究では、ジャワ島内のチーク造林における現地調査データから算出した地位指数を応答変数とし、WorldClimデータベースから取得した7つの生物気候変数と、公開された土壌情報を予測変数として、分布予測モデル(SDM)を構築した。その際、一般化線形モデル、一般加法モデル、ランダムフォレストの3つのアルゴリズムを比較し、最適なモデルを推定した。将来の環境条件については、2つの代表的な濃度経路(RCP2.6と8.5)と2期間(2050年代と2070年代)の気候変化シナリオを用いて、将来予測される地位指数の変化を空間明示的に推定した。3つのモデルのうち、ランダムフォレストが最も適合度が高く、降水量がチーク成長の重要な予測因子であり、気温がそれに続いた。このモデルを用いて2050年代と2070年代のジャワ島におけるチーク造林適地の地理的変化の推定結果を紹介するとともに、同島における将来のチーク造林のあり方について考察する。


日本生態学会