| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-194  (Poster presentation)

土壌呼吸ホットスポット要因としての枯死木の効果
Effect of CWD as hot spot in soil respiration

*小南裕志(森林総合研究所), 深澤遊(東北大学), 高木正博(宮崎大学), 鈴木智之(東京大学), 竹本周平(東京大学)
*Yuji KOMINAMI(FFPRI), Yuu FUKASAWA(Tohoku University), Masahiro TAKAGI(Miyazaki University), Satoshi SUZUKI(Tokyo University), Syuhei TAKEMOTO(Tokyo University)

森林生態系の炭素収支において生態系呼吸量の30~50%程度を占める有機物分解呼吸量は、森林生態系のCO2吸収量の環境応答や群落構造依存性を評価する上で重要な項目である。伐採を伴わない天然性林においては、成長していく樹木も長期的にはいつかは枯死して分解系に供給される。NPP(純一次生産量)における樹木成長量の寄与は30~50%程度を占めるため樹病や風害などの攪乱が発生すると、長期に蓄えられた樹体成長分の炭素が一気に枯死木として発生するため、土壌呼吸や長期土壌炭素収支における枯死木の関与は大きい。また、枯死木は小型リターと比較して材内のリグニンなどの難分解性炭素含有率が高いため、その細片化は分解されなかった基質が残って土壌に供給される過程とも考えられ、小型リターとは異なるCO2放出特性を持っている可能性がある。森林攪乱時に発生した枯死木が分解に伴って細片化し、周辺の土壌炭素収支に与える影響を評価するために、全国5サイトで2016年に設置した枯死木サンプル群の周辺で土壌呼吸の空間変動観測を行った。枯死木周辺の土壌呼吸は枯死木の距離と負の相関があり、枯死木直近および枯死木デブリ上で高い傾向が得られた。高フラックスポイントにおいてはこれまで得られていたナラ枯れ発生前の土壌呼吸-温度関数と比較して約3倍程度のCO2放出が測定され、細片化した枯死木から供給された有機物影響が求められた。


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