| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-201  (Poster presentation)

熱帯土壌のリン酸分解酵素活性はリン施用後もなお高い
Tropical soils have high phosphatase activity even after phosphorus fertilization

*森大喜(森林総研)
*Taiki MORI(FFPRI)

土壌中のβ-1,4-グルコシダーゼ (BG)とフォスファターゼ (PME) の活性の比(BG:PME比)は、土壌微生物のリン要求性の指標と考えられている。すなわち、微生物がリンをより必要とする環境では微生物のリン獲得への投資割合が上昇するためにBG:PME比が小さくなる(PME活性が相対的に高くなる)。実際に、リン可給性が低い熱帯土壌ではBG:PME比が小さいことが報告されており、これは微生物がリン獲得に多くの資源を投資している結果と考えられてきた。しかしながら、本研究で行ったメタ解析によれば、熱帯土壌に多量のリンを継続的に施肥してもBG:PMEが全球平均レベルまで上昇した例は一例もない。その一方で、これらの長期リン施肥サイトでは、ブレイ法によって測定された「可給態リン」量は最大で100倍にも上っていた。この結果は、①BG:PME比は熱帯土壌微生物のリン不足を過大評価している、もしくは②「可給態リン」は熱帯土壌微生物へのリン可給性を評価できない、のいずれかを示していると考えられる。


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