| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-207  (Poster presentation)

河川での微細有機物(FPOM)分解に生物的要因が及ぼす影響
Effect of biological breakdown on fine particulate organic matter (FPOM) generated by different origins in river ecosystems

*三浦彩, 山下洋平, 根岸淳二郎(北海道大学)
*Aya MIURA, Youhei YAMASHITA, Junjiro NEGISHI(Hokkaido Univ.)

河川生態系では、藻類や水生植物による一次生産とともに、陸上生態系からの有機物や栄養塩類の加入があり、多様な水生生物がこれを利用する。河川に存在する有機物のうち、粒径が0.45 µm〜1 mmのものは微細有機物(Fine Particulate Organic Matter: FPOM)に分類される。FPOMは粒状有機物(POM)の物理的な破砕や生物による分解、溶存有機物(DOM)の凝集などにより生成され、その由来や組成は実に多様である。河川生態系におけるFPOMの生物的な分解については未だ不明な点が多いため、本研究では水生昆虫、原生動物、菌類、細菌類を対象に、それぞれの生物群がFPOMの分解に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。
2021年10月に、北海道旭川市に位置する忠別川から河川水と生物群集を採取し、室内培養実験を実施した。河川水は0.2 µlのフィルターでろ過し、培養水およびコントロールとした。異なる起源を持つFPOMを生成するため、ハンノキの葉、付着藻類、エグリトビケラの糞を用意した。これらを粉砕してから金属ふるいで2つのサイズ(1 mm〜250 μmまたは250 μm以下)に分け、合計6種類のFPOMとした。それぞれのFPOMを、ギャザラーであるオオクママダラカゲロウ、または微生物群集とともに、好気条件で9日間培養した。実験終了後、回収したFPOMのCN比の変化を調べた。また、水中のDOCおよび栄養塩の量を測定するとともに、DOMの質的な違いを調べるための三次元蛍光分析を実施した。培養後の試料からはDNAを抽出し、原生動物、菌類、細菌類のそれぞれを対象として設計されたプライマーで定量PCRを行い、DNA量を比較した。本発表では、これまでに得られた結果について報告する。


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