| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-350  (Poster presentation)

バードバスにおけるカメラトラップ調査と環境DNA調査の比較
Comparison of camera trap survey and environmental DNA survey in bird bath

*馬谷原武之(茅ヶ崎市文化資料館)
*Takeyuki MAYAHARA(Chigasaki City Mus. Her.)

地域における生物相調査は、地域生態系や環境の変遷の把握の為、継続的に地域ごとのデータを蓄積することが重要だが、調査を行う人材や労力、調査時の環境やタイミングの問題がある。既存の手法の補完や代替、新たな調査手法として、一般化しつつある環境DNAを組み合わせることは有効といえる。
鳥類の水浴びや採水の場として、庭等に水を張った容器を設置するバードバスの手法を、生物環境調査トラップとして用いる可能性について検討を行うことを目的とし、神奈川県茅ヶ崎市中海岸、東京都多摩市内の各住宅地内において2017年11月-1月、2018年11月において、各1地点にバードバス(容器直径約25㎝、リム部約1cm)を設け調査を行った。また、調査トラップとしての応用として、茅ヶ崎市の地点において、設置高による確認種選別の検討の為、地面からH:容器上面45cm高、L:容器上面4.5cm高と2つの高さを設定し、設置を行った。同時にカメラトラップや目視による確認を行い、利用種の確認と比較を行った。バードバス内の水を環境DNA用途に約1週間間隔で採水し、交換を行った。採水後、定法により10%塩化ベンザルコニウム溶液を添加し一時保管、ステリベクス(0.22μm)フィルターで濾過後、冷凍保存した。環境DNA解析は業者に依頼し、COI領域を対象とし、次世代シーケンサーを用いた網羅的解析を行った。
結果、設置したバードバスを水浴びや給水に利用したほぼすべての種(設置高H:ジョウビタキ、カワラヒワ、スズメ等)が検出されることを確認した。また、設置高Lのみにキジバト、ハシボソガラス、タヌキ、イエネコ等が検出された。今後さらに検討を進める事により、各生態や調査目的に合わせた対象生物種等の検出に応用出来ると考えられる。
今後、既存の庭などに設置される各施設や個人宅のバードバスの活用や、調査トラップとしてのバード・アニマルバスの常設・一時的な設置による生物環境調査手法につなげていく事が出来ると考えられる。


日本生態学会