| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-365  (Poster presentation)

動物の頭骨標本から生息環境を考える教材開発
Development of teaching materials to think about habitat from animal skull specimens

*伊藤宗彦(総合研究大学院大学, 聖ヨゼフ学園小学校)
*Munehiko ITO(SOKENDAI, St.Joseph's Primary School)

小学校理科第4学年の単元「人の体のつくりと運動」、第6学年の単元「人の体のつくりと働き」では、肉食動物の歯は鋭く、草食動物の歯は平たいなど哺乳類頭部の形態的特徴がなぜ異なっているのかという内容には触れられていない。本研究では、哺乳類の頭骨標本を用い、頭部の形態的特徴と動物の食性が関係していることを児童が理解することを目的とした。頭骨標本を観察することにより、その形態的特徴から何の種類の動物かを予想し、科学的思考力の育成を行う活動を行なった。まとめの活動としては、動物の骨格標本を参考にしながら、食性と頭部の形態的特徴を考え、紙粘土で骨格標本の模型を作成した。授業の前後で児童の動物の形態に対する興味・関心の変容について質問紙を用いて検証した。「Q1. 生物の暮らしに興味がある。」では、活動の前後で有意な差は見られなかったが、活動後の方が点の上昇する傾向が見られた。頭骨標本がどの動物かを当てるクイズや紙粘土で動物の頭骨標本を作る活動を通して、生物の暮らしに興味を持ったためと考えられる。「Q2.動物の歯の形は、食べる物と関係していると思う。」「Q3.動物の目の位置は、肉食動物と草食動物で違うと思う。」では、活動の前後で有意な差や傾向は見られなかった。動物の歯の形態や目の位置については、肉食動物、草食動物、雑食性の動物に対して、細かな観察により比較をする必要があり、1回の授業では、あまり観察の時間が取れなかったことが原因かもしれない。「Q4.動物の形を粘土で作ってみたいと思う。」では、活動の前後で有意な差や傾向は見られなかった。しかし、KH Coderを用いた児童の感想の分析では、「粘土」は「楽しい」「難しい」と結びついていた。これは、動立体的な造形を作るのは小学生には難しかったが楽しさも感じていたようだ。また、児童の感想の分析では、「粘土」と「面白い」が結びついていた。


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