| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-375  (Poster presentation)

森林におけるキノコ食昆虫随伴菌群集の構造
Community structure of fungi associated with mycophagous insects in forests

*山下聡, 安藤裕萌, 升屋勇人(森林総合研究所)
*Satoshi YAMASHITA, Yuho ANDO, Hayato MASUYA(FFPRI)

ハラタケ目やタコウキン目,タバコウロコタケ目などが形成する肉眼で観察できるような大型子実体は,一般にキノコと呼ばれ,ハエ目やコウチュウ目などの様々な昆虫により餌や住み場所として利用されている。一般に昆虫は様々な微生物を随伴しているが,それらの中には昆虫の餌となる資源の分解を促進する機能を持つものがいることが知られている。またキノコ食昆虫が随伴する微生物には,キノコに対する寄生性の菌類が含まれる可能性もある。そこで,キノコ食昆虫がどのような微生物を体内および体外に随伴しているかを明らかにすることは,キノコにおける菌寄生菌の時空間動態やキノコ食昆虫の宿主特異性などを理解するうえで必須である。しかしながら,キノコ食昆虫随伴微生物についての研究例は,オオキノコムシ科と酵母類の関係など,ごく一部に限られており,キノコ食昆虫にどのような菌が随伴しているかもほとんどわかっていない。そこで本研究では,キノコ食甲虫が随伴している微生物相を明らかにすることを目的に, オオキノコムシ科,ツツキノコムシ科,ハネカクシ科,ケシキスイ科およびゴミムシダマシ科の5科を対象に,随伴している酵母と糸状菌を記録した。その結果,酵母として38分類群が記録され,CandidaやSuhomycesなどが認められた。最も多様な酵母が認められたのはトウキョウムネビロオオキノコムシ(オオキノコムシ科)で,12分類群であった。次いで,ホソチビオオキノコムシ(オオキノコムシ科)からの11分類群であった。糸状菌として66分類群が記録され,Cladosporium,Penicillium,Trichoderma,Umbelopsis,Mucorが優占的であった。最も多様な糸状菌が記録されたのはトウキョウムネビロオオキノコで,21分類群であった。次いで,キノコヒラタケシキスイ(ケシキスイ科)からの17分類群であった。随伴関係の形成要因については,地理的要因や宿主となるキノコの種類などが考えられた。


日本生態学会