| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-06  (Poster presentation)

明和高校周辺のタヌキ調査~タヌキのフンから探る生態系~
Our Neighbors, The Reccoon Dogs ~recearch of reccoon dogs in a big city through their dung~

*加藤千鶴, 佐藤樹昌, 加藤知恵, 木村真菜(愛知県立明和高等学校)
*Chiduru KATO, Mikimasa SATO, Chie KATO, Mana KIMURA(Meiwa Senior High School)

私たち明和高校SSH部生物班は名古屋城周辺に生息する野生のタヌキの生態を調べている。明和高校は愛知県名古屋市の市街地、かつ名古屋城に隣接した立地にある。本校周辺は多くの建物が並ぶ場所にありながら史跡などが多く残り、名古屋城の外堀のような古くからの自然環境が保全されている。このような自然環境を調査する中でタヌキの存在を知った。市街地に生息する野生動物は、どのような生態を持ち、地域の環境と関わっているのかを調査した。方法として、タヌキの行動範囲と考えられる場所に定点カメラを設置し、記録を行った。また、タヌキは決まった場所にフンをする性質を持つことを利用し、タヌキのフンの定期的な採取と内容物の解析を行った。その結果、複数個体の撮影に成功した。春ごろには、子供を連れた親子の撮影も行うことができた。このことから、タヌキがこの周辺で繁殖をしていることが分かった。タヌキは夜行性だと思っていたが、撮影記録から昼間にも行動していることが明らかとなった。また、フンの解析からは、植物の種子、樹皮、昆虫の脚などが観察された。これらの季節ごとの変化も調査している。植物の種子と、周辺の植生調査により、タヌキの行動範囲の推定も可能になると考えている。さらに、周辺の聞き取り調査も行った。名古屋城に隣接する大きな公園(名城公園)の管理局や、官庁街、本校生徒からの情報によると、夕方~夜間に目撃情報があった。人通りの少ない時間帯などは、道路などを横断している可能性も示唆された。今後は、定点カメラの設置個所を増やすなどして、タヌキの行動範囲の調査や群れの大きさの調査を行いたい。また、フンのDNA鑑定を通じた個体識別なども調査したいと考えている。


日本生態学会