| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-11  (Poster presentation)

ドローンを活用した湿地生態系の植生調査
Investigation of wetland ecosystem vegetation using a Drone

*槫林晴翔, 榛村海維, 白川巧弥, 持留幸太, 鈴木伊織, 伊藤信一(浜松学芸高等学校)
*Haruto KUREBAYASHI, Kai SHINMURA, Takumi SHIRAKAWA, Kodai MOCHIDOME, Iori SUZUKI, Shinichi ITO(Hamamatsu Gakugei High School)

トウカイコモンセンゴケはモウセンゴケ科の植物で,食虫植物の1つである。本研究の調査地の浜松市浜北区宮口にある湿地(以下,宮口湿地)は道路から隔てられた場所にあるため,人が立ち入るのは困難である。トウカイコモウセンゴケを中心とした希少な植物の調査のために宮口湿地内に踏み入ろうとしたが,環境を荒らさずに調査を遂行することは困難であると判断した。湿地植物の調査時にドローンを用いることで,調査に伴う自然環境の破壊を防止できるだけでなく,人の立ち入りが困難な環境であっても植物を調査できるはずである。本研究の目的は,ドローンを用いて上空から植物の調査を行うことで,環境の破壊や希少な植物を踏み荒らしにつながることがない,新たな調査手法を切り開くことである。調査地内に,トウカイコモウセンゴケの個体数の多寡,草本の有無を考慮して,18個の調査枠(50×90cm)を設置した。その後,調査枠内のトウカイコモウセンゴケの個体数を調査者が直接数え,各個体の大きさ(直径)を計測した。次に,ドローンを用いて上空から調査枠内を撮影し,撮影した画像をもとにimageJを用いてトウカイコモウセンゴケの個体数と大きさを解析した。さらに,直接計測した数値とドローンを用いて撮影された画像をもとに算出した数値とを認識率により比較して有効性を確認した。トウカイコモウセンゴケの認識率は,調査枠内の草本被度が少ないほど高かった。また,直接調査とドローンによる調査とのあいだには強い正の相関(R2=0.7255)がみられた。本研究により,ドローンを用いた調査が湿地植物トウカイコモウセンゴケの個体数や大きさの推定に有効である可能性が示された。


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