| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-16  (Poster presentation)

水生菌類培養の最適培地を探る
Search for the optimal medium for aquatic fungal culture

*赤井陽央, 池尻晄晟, 福嶋優太(米子東高等学校)
*Akihiro AKAI, Kosei IKEJIRI, Yuta FUKUSHIMA(yonago-higasi haighschool)

水生菌類の培養条件の最適化
赤井 陽央 池尻 晄晟 福嶋 優太

1.研究の背景と目的
真菌類の中で水生菌類に分類されているものは,培養方法が確立されていない。従来は培地を用いるものや釣り菌法などがあったが,論文によって異なる方法を用いている。今回は従来の方法を試すほか,より良い培養方法がないか検討する。
2.方法
実験1,2を行った.実験1では,3種類の培地を用いた寒天平板培養法によって,河川水からの真菌類培養を試みた。実験2では,採取した河川水のpHを改変し,ペットボトル内で釣り菌法を用いることで,発現する菌類の絞り込みを試みた。

3.結果
実験1において,無菌操作が上手くいかなかったことが多かったため,十分な結果を得ることはできなかった。実験2において,pHを改変しなかったものについては細菌の増殖により水生菌類の菌糸が確認しにくかった。しかし,クエン酸を用いてpH改変したものに関しては細菌の増殖があまり見られず,水生菌類の菌糸が確認しやすくなっていた。

4.考察
実験1において,水生菌類は他の真菌と同様に貧酸素の培地を好むことが示唆された。実験2において,クエン酸は細菌類の増殖を抑制し,水生菌類の観察,培養を行いやすくできる種が存在する可能性が示唆された。しかし,この実験では菌類の同定を行うことができていないほか,実験の再現性が確保されていないなどの課題が存在する。

5.結論
本研究より,クエン酸が水生菌類の培養に適していることが示唆された。今後,クエン酸を用いた培養条件の検討や他により適した条件がないか検討していく。

6.参考文献
印東弘玄.水棲菌類の観察方法.日本水処理生物学会誌Vo21,No1,1985.P.20-25ほか

7.キーワード.
水生菌類 培養 pH クエン酸 菌糸


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