| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S02-7  (Presentation in Symposium)

Eco-DRRとNbSの国際的動向と日本からの貢献
Global trend and Japan's contribution on Eco-DRR and NbS

*古田尚也(大正大学, IUCN, 総合地球環境学研究所)
*Naoya FURUTA(Taisho University, IUCN, RIHN)

過去1−2年の間に、気候変動や防災・減災、そして生物多様性に関する国際的な議論の中でNbS(Nature-based Solutions)というコンセプトが急速に支持を集めている。これは生態系管理を通じて気候変動や水、食料、人の健康や環境保全などの社会課題に対処していくアプローチで、結果として人間の福利と生物多様性の両方に利益をもたらす介入行為のことをいう。脱炭素に向けた取り組みや現在議論されている生物多様性に関する次の国際的な目標を2030年に向けて一気に進めつつ、すでに激甚化が進行している自然災害への対処も強化していかなければならないという状況の中で、限られた時間とリソースを有効に活用するための現実的なアプローチとして注目されている。NbSは、Eco-DRR(生態系を活用した防災減災)、EbA(生態系を基盤とした気候変動適応)、グリーンインフラ、自然再生などの関連するアプローチを包括するアンブレラコンセプトとしてIUCNが10年ほど前から提唱し、その定義や国際標準などの整備を進めてきたものである。さらに、最近ではこのNbSに則った活動を大規模に社会実装していくための、ファイナンスメカニズムや認証の仕組みなどについても取り組みが始まっている。本集会では、こうしたNbSに関連する国際的な動向について紹介するとともに、地球研のEco-DRRプロジェクトやその他の関連する日本の取り組みがこうした国際的動向と、どのように切り結ぶことができるかについて議論をしていきたい。


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