| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S26-2  (Presentation in Symposium)

生物多様性情報学の目指すもの
Move on the next step of biodiversity informatics

*大澤剛士(東京都立大学)
*Takeshi OSAWA(Tokyo Metropolitan Univ.)

生物多様性情報学は、生物多様性科学と情報学の中間に位置する分野である。情報学といっても非常に広範であるが、演者はこれを「生物多様性に関わる情報を収集、整理し、生態学をはじめとする様々な分野において利活用できる基盤情報として整備し、広く共有していくもの」と捉えている。共有された生物多様性に関わる基盤情報に期待されることとして、もちろん第一義的に生態系の謎を解き明かすという研究への貢献が挙げられるが、基盤情報そのものは、本来的に用途を絞る必要がないものである。すなわち、生物多様性情報が生態学、生物多様性科学に関する研究以外でも積極的に利用されるようになることは、本来的にあるべき当たり前のことと考えている。そして実際に近年、生物多様性情報の社会的ニーズは驚くべき早さで高まってきている。そこで本講演では、長年生物多様性情報の整備、共有に関わってきた研究者の立場から、研究の基盤に留まらず、社会の基盤としての生物多様性情報が今後進むべき方向について述べるとともに、シンポジウムの主眼の一つである生物多様性に関する政策、ビジネス化という観点に注目し、生物多様性情報学のさらなる発展を展望したい。


日本生態学会