| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S26-7  (Presentation in Symposium)

生きものデータを活かして自然保護を社会の当たり前にするNGOの挑戦
The challenge for NGOs to make nature conservation part of society and the use of biodiversity data.

*岩橋大悟(日本自然保護協会)
*Daigo IWAHASHI(NACS-J)

自然保護には生きものデータの活用は欠かせない。私たちはこれまで「モニタリングサイト1000」への協力や「自然しらべ」という取組みなどを通して全国で自然環境のデータを集め、それらを元に自然保護活動を行ってきた。しかし、自然保護が社会の当たり前になったかと言えばまだ道半ばであろう。科学的なデータであるがゆえに、ともすると自然が好きな人たちだけの内輪の話になってしまいがちになることは私たち自身の反省すべき点である。
今、私たちは、データを活かしつつも、より人々の生活に寄り添うかたちで自然保護を社会実装すべく、各地で取組みを推進している。なかでも、群馬県みなかみ町「赤谷の森」を舞台に実施している赤谷プロジェクトの挑戦はおもしろい。データを元に生物多様性の保全や復元に取組み、その自然の恵みを持続的な地域づくりにも積極的に活かしている。国内外問わず様々な業種の企業からも注目されはじめ、まさに生態系を社会のインフラとして活用している好例として紹介したい。
持続可能な社会の実現に向けて、世界では「リジェネレイティブ」「ネイチャーポジティブ」「NbS」をキーワードにものすごいスピードで自然保護の社会実装が進み始めている。日本においても多方面で議論が活発化するなか、本発表が具体的な取組みのきっかけとなれば幸いである。


日本生態学会