| 要旨トップ | ESJ69 自由集会 一覧 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


自由集会 W06  3月17日 16:30-18:00 Room G, オンライン開催/見逃し配信対応

間接効果を通して見る世界:間接効果が個体群のダイナミクスを司る
Novel ecological perspectives arising from indirect effects: How indirect effects contribute to understanding of population dynamics

大串隆之(京都大学), 嶋田正和(東京大学)
Takayuki OHGUSHI(Kyoto University), Masakazu SHIMADA(The University of Tokyo)

「間接効果」は、あらゆる生態システムで主役を演じている。栄養カスケードや見かけの競争は、生物群集や食物網を語る上で今や避けては通れないキーワードになった。一方、種内の個体間関係でも間接効果はキープレイヤーだ。たとえば、包括適応度は遺伝的な間接効果そのものだ。社会科学、経済学、文化人類学、遺伝子ネットワークの分野でも注目され始めた。日本の生態学がこの学際的激流に飲み込まれ溺死しないうちに、サーファーよろしく大波を捕らえて中天高く舞い上がろうではないか。それには、「間接効果」との出会いの場が必要だ。それがこの自由集会である。
 今回は、個体群における「間接効果の役割」だ。個体群の構造や他種個体群との関係が間接効果を通して個体群動態をどのように変えるかに焦点を当てる。捕食者や競争者、あるいは個体群内の形質グループ間の関わりを通して間接効果は個体群動態に大きな役割を果たしている。生態学では競争や捕食はとても大事な概念だ。捕食者や捕食寄生者による間接効果は競争排除によって共存できない2種の個体群を共存させる。また、個体群生態学に裏打ちされた天敵生物を用いた害虫の生物防除の図式は、栄養カスケードそのものだ。次に、個体群の内部を見てみよう。個体群を構成する個体はサイズも違えば年齢も違う。このような形質の違いを持った個体の集合が個体群だ。個体群内の形質や機能グループは互いに相互作用をすることで、間接効果を生み出し、それが個体群動態にフィードバックする。個体群レベルの間接効果に目を向けた時、どんな世界が私たちの前に広がるのだろう。

1. はじめに
 大串隆之(京大)
2. マメゾウムシ-寄生蜂3種系におけるカオス動態、スイッチング捕食行動、学習規定物質
 嶋田正和(東大)
3. 個体群ステージ構造が生みだす間接効果
 瀧本岳(東大)
4. 迅速な進化と間接効果
 山道真人(クイーンズランド大)


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