| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-031  (Poster presentation)

北海道厚岸町の天然林、人工林、湿原の有剣ハチ群集の構造比較【A】
Comparison of Aculeata communities in natural forests, plantations, and marshlands in Akkeshi, Hokkaido.【A】

*上森教慈, 三田敏治, 菱拓雄(九州大学)
*Kazushige UEMORI, Toshiharu MITA, Takuo HISHI(Kyushu Univ.)

北海道厚岸町は森林と厚岸湖や別寒辺牛湿原などの湿原が混交している地域である。内陸部の森林は主にミズナラやハンノキなどで構成されるが、南部の海沿いは海霧による冷涼な気候のためトドマツ林やダケカンバ林など本来高標高に分布する植生が成立する。このような気候や植生により、高山に生息する鱗翅類や鳥類が低地に生息しているのが本地域の特徴である。また、トドマツ、エゾマツ、カラマツ人工林の施業も盛んである。
本研究では、天然性針広混交林(天然林)、針葉樹人工林(人工林)、湿原の有剣ハチ群集を比較し、森林と湿原の群集の違いや、人工林化の影響を評価した。
調査は2021年7月20-26日に行った。有剣ハチの採集にはイエローパントラップを用いた。GLMの結果、得られた個体数は湿原、人工林、天然林の順に高かった。種数は天然林と人工林に比べ湿原で高かった。Chao1の推定種数は植生間で差がなかった。また、PERMANOVAの結果、森林と湿原は異なる種構成であることが示された。本地域の種多様性は湿原と森林の両者によって創出されており、両環境の保全が重要であることが示唆された。


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