| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-039  (Poster presentation)

共在細菌叢はどこまで宿主遺伝子型特異的か:ミジンコ細菌叢移植実験からの考察【A】
Host genotype-specific magnitude of the host-associated microbiota in Daphnia pulex.【A】

*市毛崚太郎, 張璇, 占部城太郎(東北大学)
*Ryotaro ICHIGE, Xuan ZHANG, Jotaro URABE(Tohoku Univ.)

動物の体表・体内に生息する共在細菌は,その動物(宿主)の成長,繁殖,免疫などに影響を与えることが知られている.湖沼の動物プランクトンであるミジンコ属(Daphnia)においても,共在細菌叢との相互作用が明らかになりつつあり,無菌状態にすると成長速度や産子数の減少、死亡率の上昇がみられる一方,特定の細菌種の存在がミジンコ属の成長を促進することも示されている.また,ミジンコ属共在細菌叢の形成には,宿主の遺伝的性質と生息環境の双方の影響が指摘されている.しかし,宿主の遺伝的性質が共在細菌叢にどこまで影響を与えているのか,また単一の細菌種ではなく細菌叢レベルでのミジンコ属への影響などはよくわかっていない.演者らはこれまでに日本列島に広く分布するDaphnia cf. pulex sensu Hebert (和名:ミジンコ,以下D. pulex)のJPN1系統とJPN2系統を対象に共在細菌叢を調べ,これら系統間では異なる共在細菌叢が形成されることを明らかにした.本研究では,両系統の個体からそれぞれの共在細菌叢を抽出し,殺菌処理をした各系統の卵に同系・他系統の共在細菌叢を個別に接種することで.共在細菌叢の形成に果たす宿主の遺伝的性質の役割や細菌叢レベルでの宿主適応度への影響を解析した。具体的には、同系・他系由来の細菌叢接種卵それぞれについて,孵化後の成長や産子数を計測するとともに,生育後の共在細菌叢を16s rRNA解析により調べた.本講演では,得られた結果をもとに,共在細菌叢への宿主遺伝子型の影響宿主適応度への共在細菌叢の影響議論する.


日本生態学会