| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-041  (Poster presentation)

常緑針葉樹林と落葉広葉樹林の落枝に生息するトビムシ群集の比較【A】
Comparison of collembolan communities dwelling in the fallen branches between evergreen coniferous and deciduous broad-leaved forests.【A】

*葛西弘, 澤畠拓夫(近畿大・院・農)
*Hiro KASAI, Takuo SAWAHATA(Kindai Univ.)

スギやヒノキなどの単一樹種からなる人工林は,天然林に比べて生物相が単純化することが多くの研究で報告されている.森林の中で最も豊富かつ多様な土壌動物においても,天然林と人工林で比較すると,人工林では種多様性が低いことや,群集構造が異なることなどが報告されている.しかし,これまでの研究では土壌層および落葉層に注目していることがほとんどで,森林内に存在する他の資源に生息する土壌動物を対象とした評価ほとんど行われてこなかった.そこで本研究では,森林内に豊富かつ普遍的に存在している資源である落枝に生息するトビムシに着目し,落葉広葉樹二次林と樹種転換によって生じた常緑針葉樹林の落枝に生息するトビムシ群集を比較し,人工林と天然林での落枝トビムシ群集の違いを評価することを目的とした.調査は2022年の秋に奈良県奈良市の近畿大学農学部が所有する森林内の落葉広葉樹林およびスギ林,ヒノキ林で行った.落枝は直径3±1 cmのものを選択し,100 cm3のサイズで採取した.なお落枝の腐朽段階は後期に統一した.また,森林タイプ間で群集構造に違いが生じた際に,それが落枝で特異的にみられる現象なのかを調べるために,リター層も採取した.リター層は地表から5 cmまでの土壌コア(25 cm2×5 cm)を採取した.採取したサンプルからツルグレン装置を用いてトビムシを抽出し,種レベルで同定・計数を行った.本発表では天然林と人工林の落枝のトビムシ群集の違いについて,これまで得られた結果を紹介する.


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