| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-059  (Poster presentation)

翼端形状とその運動に伴う変化が鳥類の飛翔スタイルと関連する【A】
Wingtip shape and its change with wing motion are associated with the flight style of birds.【A】

*小林遥香(千葉大・院・融), 村上正志(千葉大・院・理)
*Haruka KOBAYASHI(Grad. Sci. Eng., Chiba Univ.), Masashi MURAKAMI(Grad. Sci., Chiba Univ.)

鳥類の翼の形状は種によって多様であり、各種の生態や生活史と関連していると考えられる。その中でも翼端形状は特に種間の差が大きいとされている。本研究では、翼端形状とその変形に着目し、これらが各種の体サイズなどの生態的特徴や、飛翔スタイルと関連するかを、鳥類の系統関係を考慮して解析した。翼端形状と翼の運動を複合的に評価することで翼の各部位がもつ機能の解明につながると考える。まず、ランドマーク法により鳥類259種の翼端形状を取得し、これを主成分分析によって評価した。さらに、41種の鳥類冷凍資料を用いて、各関節の可動域とこれに伴う翼形の変化を計測した。これらの結果について、生態や行動との関連を、一般化線形モデル(GLM)および系統一般化最小二乗法(PGLS)により解析した。翼端形状のPC1は翼端の狭まりを、PC2は風切羽の切れ込み形状を示した。翼端形状のPC1は、系統を考慮した上で各種の飛翔スタイルと関連し、スズメ目型飛翔を行う種とソアリングを行う種で特に翼端の幅が広い傾向が見られた。また、翼の運動について、系統を考慮せず体サイズの効果を除いた場合、手根中手骨端関節の屈曲に伴う変形がソアリングを行う種で特に大きくなる傾向が見られ、翼端を大きく変形することで効率的に上昇気流を捉えて飛翔している可能性が示された。さらに、系統を考慮した上で、翼の展開に伴う変形の程度が食性と関連したことから、翼端形状の変化によって、鳥類は採餌時の様々な飛翔行動に対応していると示唆された。また、系統考慮下で、渡りを行なう種ほど手首関節の屈曲に伴う変形が小さい傾向が見られ、翼端の形状を固定することによって効率的な長距離飛翔を行なうと考えられた。このように、手首関節の運動に伴う翼端の変形による生態への対応に、翼端形状による飛翔スタイルへの対応が加わることで、鳥類は生活様式に応じた飛翔を行っていると考えられる。


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