| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-069  (Poster presentation)

首輪カメラ映像と加速度データによるモウコガゼルの行動解析:活動周期とその季節変化【A】
Activity cycle analysis of Mongolian gazelles using animal-borne camera with 3-axis accelerometer【A】

*長崎亜湖(麻布大学), 伊藤健彦(麻布大学), 菊地デイル 万次郎(東京農業大学), Munkhbat UUGANBAYAR(WWF Mongolia), Buyanaa CHIMEDDORJ(WWF Mongolia), 塚田英晴(麻布大学)
*Ako NAGASAKI(Azabu Univ.), Takehiko Y. ITO(Azabu Univ.), Dale Manjiro KIKUCHI(Tokyo Univ. Agr.), Munkhbat UUGANBAYAR(WWF Mongolia), Buyanaa CHIMEDDORJ(WWF Mongolia), Hideharu TSUKADA(Azabu Univ.)

動物装着機器の発展が、観察が困難な野生動物の継続的な行動推定を可能にしつつある。詳細な行動推定は、行動パターンの季節変化や地域差を通して、移動フェーズ切替や採食場所選択の要因解明につながるだろう。そこで、モンゴルの草原を遊動的に移動する草食獣モウコガゼルを対象に、加速度計を用いた行動推定手法を確立し、行動パターンの日周および季節変化を解明することを目的とした。2019年10月にモンゴル南部で成獣メスにカメラ・3軸加速度計付GPS首輪を装着し、4秒ごとの加速度と日中(7–19時)1時間ごとの15秒間の動画を記録した。1年後に首輪を自動脱落させ、1頭の約1年分のデータ回収に成功した。動画で目視確認した行動を正解とすると、動的加速度の合計値をクラスター分析により休息(休息・反芻)と活動(移動・採食)に分類した結果の正解率は、解析時間単位が512秒のとき、最低でも81.2%(7月)であり、10月から3月までは90%を超えた。推定された1日の「活動」時間割合は、月平均では51.2%から57.8%だったが、時間帯で分けると季節変化が大きく、日中では44.1%(6月)から78.8%(11月)、19–7時では27.3%(12月)から62.4%(7月)だった。これは行動への気温の影響と、1日を通した行動観察・推定の重要性を示唆する。「活動」開始から次の「活動」開始までを1周期とすると、1日の周期数は2回から21回までの幅があり、冬に少なく(5.1±1.4回、2月)、夏に多かった(10.3±2.0回、6月)。同様の手法で推定されたカメラなし首輪装着個体でも、個体差は存在するものの、周期数の季節変化傾向は一致した。行動の周期数や継続時間は採食場所の食物の量と質を、個体差は採食環境の地域差を反映した可能性がある。加速度解析による行動推定は、行動パターンの解明に加え、採食環境の評価にも有効だろう。


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