| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-088  (Poster presentation)

土壌資源の垂直分布に応じてカキドオシの根の空間分布は変化するか?【A】
Does root biomass respond to vertically heterogeneous nutrient distribution in a clonal plant, Glechoma hederacea?【A】

*大村拡平, 立木佑弥, 鈴木準一郎(東京都立大学)
*Kohei OMURA, Yuuya TACHIKI, Jun-Ichirou SUZUKI(Tokyo Metropolitan University)

植物は、資源の多い土壌に根を多く配置し、不均質な資源分布に応答する。独立に生育しう るラメットを栄養成⻑で作るクローナル植物では、不均質な資源分布下での効率的な資源 獲得や、水平方向の土壌資源分布の不均質性に対する応答や分業が知られている。しかし垂 直方向の資源分布へのラメットの反応はほとんど知られていない。
本研究では、クローナル草本のカキドオシを用い、仮説「ラメットの根の分配は、親ラメ ットの環境を完全に反映した決定論的な分配と、自己の環境に完全に可塑的な分配を両極 とする中間的な反応を示す」を考え、 親ラメットの環境の子ラメットへの影響と子ラメッ トの生育環境への可塑的反応を栽培実験で評価した。
実験では、13 個のラメットが匍匐枝で繋がったクローナル断片を解析した。まず、1 番 目のラメット(以下 1 ラメット)を下記の 3 条件のいずれかのポットに定植した。各条件 とも総栄養塩は同量にした。2〜5のラメットは1ラメットと同じ条件の土壌に発育に応 じて定植し、6〜8 ラメットは 5 ラメット以前の条件に関わらず均質な土壌に定植し、9 ラ メット以降は土壌に定植しなかった。土壌条件は、垂直方向の上層に栄養が集中し下層には 無い、上層には栄養がなく下層に集中、土壌全体の栄養塩が均質、の3条件とした。
13 ラメットで 2 枚の葉が明瞭に展開した時点で収穫した。地上部と匍匐枝と地下部にカ キドオシを分解し、地下部は上・下層にわけて根を回収した。上・下層の根の重量、地上部 重量、匍匐枝⻑などを計測し、不均質な環境での生育とその後の均質な環境での反応を解析 した。
垂直に不均質な土壌では各ラメットは栄養塩の多い層に相対的に多くの根を分配した。 土壌環境が変化する 6 ラメットでは、親ラメットの影響が見られる決定論的な分配から可 塑的な分配へ変化する可能性が示唆されたが、クローナル断片間で分散が大きく、定量的に は結論できなかった。


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