| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-110  (Poster presentation)

島嶼性ツリガネニンジンの昼夜におけるポリネーターシフトについて【A】
Polynator shifts in the diurnal and nocturnal phases of the island Adenophora triphylla var. japonica【A】

*熱方悠人(新潟大学), 岡崎純子(大阪教育大学), 長谷川匡弘(大阪市立自然史博物館), 阿部晴恵(新潟大学)
*Yuto ATSUKATA(Niigata Univ.), Junko OKAZAKI(Osaka Kyouiku Univ.), Masahiro HASEGAWA(Osaka Mus. of Natural History), Harue ABE(Niigata Univ.)

海洋島などの隔離の影響が大きい環境では昆虫相が単調化し、送粉者が変化することで送粉者シフトが生じることがある。しかし、その要因について調査された例は少ない。本州のツリガネニンジンAdenophora triphylla var. japonicaでは夜行性のガ類が送粉をおこなっている (Funamoto and Ohashi 2016)。しかし、岡崎ら (未発表) による先行研究によって、海洋島で構成される伊豆諸島に属する三宅島の集団では、夜行性のガ類から昼行性のハナバチ類に送粉者シフトしていることが明らかとなっている。本研究では伊豆諸島のツリガネニンジン個体群のうち、未だに調査されていない神津島の集団について、訪花昆虫相を調査した。
 8月上旬に神津島と伊豆半島の草原 (1地点ずつ) と、9月下旬に伊豆半島の棚田 (1地点) で調査を行った。訪花昆虫相の検証では目視による観察と採集を行った。また、トレイルカメラにより10秒毎のタイムラプス撮影を行い、時間帯ごとの訪花昆虫相を調査した。神津島では昼間のハチ類の訪花率が高かったものの、伊豆半島と神津島のどちらでもハチ類とガ類が訪花していることから明瞭な送粉者シフトは起こっていないことが明らかとなった。一方で、景観や調査時期によって訪花昆虫相の多様性や種組成に違いがみられたことから、送粉者相の変化には地域だけでなく景観や開花フェノロジーの影響もあると考えられる。
 さらに、神津島で夜間の訪花昆虫が減少する要因として、Sakagami et al. (2021) の研究によって明らかとなったオオムカデ類やゲジ類などの夜行性の花上捕食者の存在が考えられる。神津島と伊豆半島で行ったツリガネニンの訪花昆虫の調査の結果、花上捕食者は神津島でのみ確認され、夜間の訪花昆虫に捕食圧がかかっていると推察できた。


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