| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-141  (Poster presentation)

ツルニンジンにおける花の地理的多様性【A】
Geographic diversity of Vespid wasp Pollinaiton flower【A】

*Kazuaki TATEMATSU(Gifu Univ., Fukui Mus. of Natural History), Tomoko OKAMOTO(Gifu Univ.), Kozi TSUTIDA(Gifu Univ.)

花の形態や匂いなどの形質は、訪花者との相互作⽤により進化すると考えられている。特に、特定の送粉者に花粉を運ばせるスペシャリスト型の花は、より効率的な送粉のために、特殊化した形質を持つことが多い。またそのために、利⽤できる送粉者の異なる地域間では、花の形質に種内変異が⾒られることも珍しくない。
ツルニンジンCodonopsis lanceolata の花は、観察していると主要な訪花者としてスズメバチ科の昆⾍が訪れる。また、地理的に離れたツルニンジンの個体群間では、花サイズが異なることがある。なぜ、地理的に離れた個体群間で、花サイズが変化するのだろうか。送粉者が異なるのだろうか。これまで、花形質の種内変異と送粉者の関係に着⽬した研究は、ガ類やハナバチ類を対象としたものが多く、スズメバチ科を含むカリバチ類を対象とした例はない。カリバチ媒花にはどのような種内変異があるのだろうか。本研究ではこれまでに、地理的に離れた4つのツルニンジン個体群において(1)花の形質、(2)訪花者の種類、(3)訪花頻度、(4)花粉粒の付着有無について調査を行った。その結果、地理的に離れた個体群間では、花の形質と送粉者の種類、訪花頻度が異なることが明らかになってきた。今回の発表では、ツルニンジンにおける花形質の種内変異がどのような要因により変化するのかについて議論したい。


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