| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-227  (Poster presentation)

気候変動が倒木更新する常緑針葉樹の実生へ及ぼす影響【A】【E】
The influence of the climate change on the evergreen confier seedings regrating on fallen logs【A】【E】

*蘇子墨, 小林真(北海道大学環境科学院)
*Shiboku SO, makoto KOBAYSHI(Hokkaido Univ Env.Science)

気候変動は、天然林で倒木更新する常緑針葉樹の実生へどのような影響を及ぼすのだろうか。倒木更新は倒木の上に新たな世代の木が育つことであり、北海道などでは、特に常緑針葉樹にとって重要な更新様式。先行研究では、今後も温暖化が続けば、乾燥のリスクが高まることで寒冷な気候に適応した常緑針葉樹は悪影響を受けやすいことが予想されている。しかし、これらの研究の多くは、気候変動が土から生えている樹木個体へ及ぼす影響について調べられたものであり、倒木更新してい樹木へ気候変動が及ぼす影響は未だまだ不明点が多い。倒木上と地面では、養水分の条件が異なることが知られており、そうした稚樹を取り巻く環境の違いは、気候変動が稚樹へ及ぼす影響の違いへつながると予想できる。
そこで本研究では、気候条件が倒木更新する稚樹と地面に更新している稚樹の枝の成長に及ぼす影響を比較した。具体的には、北海道北部の天然の針広混交林に生育するトドマツ稚樹60本を対象に、過去十数年間の各年ごとの気象データと、実生の枝の成長の年変動との相関関係を解析した。
解析の結果、倒木更新する稚樹の方が土に生えている稚樹よりも成長が良かった。一方、2つの立地に生育している稚樹ともに、温度が高くなる事による成長への悪影響が見られたが、影響の程度は倒木更新する樹木で特に大きかった。倒木更新する稚樹と土から生えている稚樹で、気温との関係性が異なったメカニズムは未だ不明であるが、この2者間では、気温上昇が起きた時に受ける影響は異なることが示唆された。今後は、降水量、日照時間や積雪量などの気象要因との関係性についても検証する予定である。


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