| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-228  (Poster presentation)

100年前450ha分のプロットデータによる北方針広混交林のバイオマス規定要因【A】【B】【E】
The factor of regulating biomass in north mixed forest:1930's, 450ha data【A】【B】【E】

*小幡愛(東京大学), 吉田俊也(北海道大学), 日浦勉(東京大学)
*Ai OBATA(The University of Tokyo), Toshiya YOSHIDA(Hokkaido university), Tsutomu HIURA(The University of Tokyo)

森林は二酸化炭素の主要な吸収源だが、開発や気候変動により森林の組成やバイオマスは変化しており、特に、北方針広混交林は気候変動により種組成の変化が予想されている。気候変動に伴い森林がどの程度変化してきたかということは気候変動が顕著になる以前のデータが不足しており明らかではない。本研究では、1929-1938年の北方針広混交原生林の森林データ(480プロット)を利用して、(1)森林の当時のバイオマスを推定し(2)バイオマスがどのような環境要因(気温、降水量、Topographic wetness index、日照量、地質)と関係があるかを樹木全体のバイオマスと種ごとのバイオマスについて解析し(3)バイオマスと多様性の関係が有意であるかを構造方程式で解析した。その結果当時の森林は平均地上部バイオマスが61(MgC/ha)だった。種ごとのバイオマスにおいて亜寒帯性針葉樹は降水量が低い地域で、落葉広葉樹は降水量が高い地域でバイオマスが増加する傾向があった。環境要因は生物的要因を通じて間接的に地上部バイオマスに影響しており、種数と地上部バイオマスの関係は有意ではなかった。この研究は、データが不足している気候変動の影響が顕著になる以前の森林の様相を明らかにし、バイオマスに影響する要因は種別のバイオマスに分けて解析を行うことで環境要因の影響を詳細に理解できる可能性を示した。


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