| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-343  (Poster presentation)

セイヨウタンポポの拡大に在来種との交雑は重要か ~分布推定モデルによる評価~【A】【B】【E】
Significance of Hybridization with Native Species in the Expansion of Taraxacum officinale ~Evaluation by Species Distribution Model~【A】【B】【E】

*城垣徹, 名波哲, 伊東明(大阪公立大学)
*Toru JOGAKI, Satoshi NANAMI, Akira ITOH(Osaka Metropolitan University)

交雑とは,外来種が侵襲性を獲得する過程の一つである.交雑して生まれた雑種が移入先で拡大した外来植物の例として,日本におけるセイヨウタンポポが挙げられる.セイヨウタンポポは在来タンポポと交雑し雑種を形成し,雑種タンポポの数はセイヨウタンポポを上回っていることが明らかになっている.しかしながら,雑種ではない純粋なセイヨウタンポポも少なくなく,セイヨウタンポポと雑種タンポポの割合は場所によって異なり,セイヨウタンポポの方が多い地域もある.そのため,日本におけるセイヨウタンポポの分布拡大において,交雑が果たした役割や重要性は未だよくわかっていない.本研究では,分布推定モデルMaxEntを用いて,セイヨウタンポポの日本における生育適地を推定し,在来種との交雑の重要性を考察した.GBIFに登録されている原産地ヨーロッパにおけるセイヨウタンポポの在データと,World Climの気象データを用いて,セイヨウタンポポの生育適地を推定した.得られたモデルの予測精度を,ヨーロッパと日本の在データそれぞれを用いて評価したところ,ヨーロッパにおける予測精度に比べて日本のそれは低下した.この結果から,日本ではセイヨウタンポポが適していない場所に生育しており,交雑が影響した可能性が示された.

Taraxacum officinale hybridized with native species is spreading in Japan. However, it is not well known whether hybridization was important in expanding its distribution. We used MaxEnt to estimate the suitable habitat of T. officinale in Japan. We found that T. officinale in Japan grows in less suitable habitats, indicating that hybridization may have affected the spread of T. officinale.


日本生態学会