| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-027  (Poster presentation)

日本産ミゾガシラシロアリ科・シロアリ科の巣内共生トビムシ相
Symbiotic springtails in Rhinotermitid and Termitid termites in Japan

*北出理, 城戸翔太, 畠山圭介(茨城大学)
*Osamu KITADE, Syota KIDO, Keisuke HATAKEYAMA(Ibaraki University)

 トビムシ(トビムシ目)の中にはシロアリの巣内に生息する種が知られている。共生種は従来、共生に特殊化したアリノストビムシ科の種と考えられてきた。しかし宿主特異性は不明であり、また日本産シロアリの共生トビムシについては断片的な報告しかなかった。
 本研究では、(1)日本産のミゾガシラシロアリ科とシロアリ科を中心にその巣内に生息するトビムシの種組成を明らかにすること、(2)ヤマトシロアリに共生するトビムシの生息場所の特異性を確かめること、(3)ヤマトシロアリ属に主に共生する種について、トビムシのの系統推定を行い、宿主種や分布との対応を考察することを目的とした。このために日本産シロアリ10種のコロニーを調査し、共生トビムシの形態に基づく分類・生態学的調査とミトコンドリアCOI遺伝子を使用した系統解析を行った。
 種組成の調査の結果、シロアリとトビムシの間にはやや弱い宿主特異性が存在し、ヤマトシロアリ属やオオシロアリ属の宿主種では、アヤトビムシ科のカギヅメカマアヤトビムシ属の未記載種Coecobrya sp. 1が優占することが明らかになった。一方、タカサゴシロアリ属やイエシロアリ属ではアリノストビムシ科のホウザワアリノストビムシSerroderus hozawaiが優占していた。また、ヤマトシロアリ巣内外のトビムシ種組成から、Coecobrya sp. 1は冬季にはシロアリ巣内に局在し、夏季に周囲の土壌やリター中へ分布を広げることが示唆された。
 分子系統解析の結果、Coecobrya sp. 1はヤマトシロアリ属のシロアリ巣内に共生する系統とオオシロアリの巣内に共生する系統に分けられた。ヤマトシロアリ属に共生するものは必ずしも宿主種ごとに単系統群を形成しなかった。本種はおそらく主に垂直伝播により宿主世代間で伝達されるが、時々異種の宿主への乗り換えを起こすものと考えられる。


日本生態学会