| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-029  (Poster presentation)

隠れマルコフモデルによる水産資源における生産性のレジームシフトの検出
Detecting productivity regime shifts of fisheries stocks by a hidden Markov model

*西嶋翔太(水産研究・教育機構), Xiaozhuo TANG(Univ. Toronto), Fan ZHANG(Shanghai Ocean Univ.), Nan ZHENG(Memorial Univ. Newfoundland), 船本鉄一郎(水産研究・教育機構), 古市生(水産研究・教育機構), 市野川桃子(水産研究・教育機構), 上村泰洋(水産研究・教育機構), 黒田啓行(水産研究・教育機構), 境麿(水産研究・教育機構), 米崎史郎(水産研究・教育機構), 由上龍嗣(水産研究・教育機構)
*Shota NISHIJIMA(FRA), Xiaozhuo TANG(Univ. Toronto), Fan ZHANG(Shanghai Ocean Univ.), Nan ZHENG(Memorial Univ. Newfoundland), Tetsuichiro FUNAMOTO(FRA), Sho FURUICHI(FRA), Momoko ICHINOKAWA(FRA), Yasuhiro KAMIMURA(FRA), Hiroyuki KUROTA(FRA), Osamu SAKAI(FRA), Shiroh YONEZAKI(FRA), Ryuji YUKAMI(FRA)

魚類の生産性はときに環境レジームの間で突然シフトすることがあり、魚種横断的にレジームシフトの生起パターンを調べることは、魚類の資源動態の理解と管理に役立つと考えられる。本発表では、レジームを隠れ変数として推定する隠れマルコフ型再生産関係モデルを日本の沿岸資源32魚種に適用し、どの魚種がどの程度の確率で加入レジームシフトを示すかを検証した。その結果、再生産関係にレジームシフトを示したのは8種(25%)にとどまり、この割合は世界や日本での先行研究よりも低いものであった。また、レジームシフトの生起確率を予測するモデルを構築したところ、太平洋では小型浮魚魚類が底魚魚類よりもレジームシフトを示しやすいことがわかったが、瀬戸内海では逆の傾向を示した。この結果は、魚類資源が加入レジームシフトを示すかどうかは、種特性や地域に相互に依存することを示唆しており、非平衡な動態を示す魚類資源の持続的な利用に貢献すると考えられる。


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