| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-039  (Poster presentation)

コクヌストモドキにおける雄の移動活性の違いが交尾後の性選択に及ぼす影響の検証
Influences of male moving activity on the post copulatory sexual selection in a beetle

*松村健太郎(岡山大学)
*Kentarou MATSUMURA(Okayama University)

雌の探索に投資する雄は交尾成功が増加するため、交尾前の性選択において有利であると考えられる。その一方で、多くの動物では、雌が複数の雄と交尾を行うため、交尾成功の増加が繫殖成功の増加を保証するわけではない。そのため、父性成功(その雌が産んだ子に占めるその雄の精子が使用された割合)を増加させるための投資も、雄の繁殖においては重要となる。交尾成功を増加させるため戦略と、父性成功を増加させるための戦略は、しばしば二者択一的であることが様々な動物で報告されている。講演者は、雄の交尾相手探索は自身の移動活性に依存していると予想し、雄の移動活性の高低それぞれの方向に対する選択圧によって、雄の二者択一的な繁殖戦略が反応するかどうかを検証した。講演者による先行研究により、コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)の歩行移動活性に対する25世代を超える人為選抜によって、遺伝的に移動活性が高い(以下、H)系統と低い(以下、L)系統が確立された。さらに、交尾成功はH系統の雄が、父性成功はL系統の雄がそれぞれ増加させることが明らかになった。これらの先行研究結果から、交尾成功と父性成功はトレードオフの関係であり、雄の移動活性に強く依存していることが示唆された。その一方で、父性を調べた先行研究では、雄はライバル雄とは隔離された状態で試験を行っていた。本研究では、ライバル雄と同居した状態での父性成功を、選抜系統間で比較する実験を行った。その結果、ライバル雄が同居した状態でも、L系統の雄の方がH系統の雄よりも父性成功を増加させることが明らかになった。この結果は、野外のようにライバル雄が周囲に存在する状況下でも、移動活性が低い雄は交尾後の性選択への投資を増加させていることを示唆した。


日本生態学会