| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-046  (Poster presentation)

ヨツボシモンシデムシが発する摩擦音の種類
Types of stridulatory sounds produced by the burying beetle Nicrophorus quadripunctatus

*岸田竜(佐賀大学)
*Ryu KISHIDA(Saga University)

様々な分類群の昆虫が,集合や求愛行動に加え,威嚇や防御など,多様な機能を担う異なった音を出すことが知られている.シデムシ科モンシデムシ属Nicrophorusでは,親が小型脊椎動物の死体を子供の餌として利用する.親は死体に消化液を塗り付けて処理し,その後餌の吐き戻しによって孵化してきた幼虫に給餌する.その際, 親は外套と腹部の鑢状構造を用いて摩擦音を発する.この音は求愛,死骸の埋葬,親による幼虫のケアに重要な役割を果たしていると考えられている.しかしながら,モンシデムシ属における摩擦音のレパートリーや繁殖過程における摩擦音の変化についての研究は乏しく,摩擦音の正確な役割に関しては未だ理解が十分には進んでいない.短く単調な摩擦音が,親同士の接触や幼虫への給餌など,様々な行動の中で頻繁に発せられるが,ソナグラムで見比べてもその差を検出しにくい.そこで,繁殖中のヨツボシモンシデムシNicrophorus quadripunctatusの,摩擦音のスペクトルの統計量を測定し,摩擦音を分類することを試みた.


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