| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-056  (Poster presentation)

野生個体は飼育下で死にやすい?飼育下繁殖に用いる親の生残傾向
Are wild individuals more likely to die in captivity? Survival of parents for captive breeding

*佐橋玄記(水産研究・教育機構)
*Genki SAHASHI(Japan Fish. Res. Edu. Agy.)

飼育下繁殖は、保全や生物資源管理の観点から、世界の多くの種で行われてきた。飼育下繁殖に用いる親を確保する手段の一つに、野外で捕獲した親を使う手法がある。しかし、この手法では、繁殖に用いるまでに飼育下で死亡する個体が多いという問題があるとともに、どのような個体が死亡しやすいのか、飼育下での生残を左右する要因に不明な点が多かった。

本研究では、河川で捕獲後、繁殖まで人工環境下に置かれるサクラマス親魚の生残データを用いて、飼育下での生残を左右する要因を検討した。その結果、雌雄ともに、野生個体は飼育下繁殖で生まれた個体に比べて飼育環境下で死にやすかった。また、体サイズが小さい個体が飼育環境下で死にやすく、その影響は雌でより大きかった。これらの知見は、飼育下繁殖に用いる親の生残には、個体の由来や体サイズに応じて偏りが生じることを示唆する。


日本生態学会