| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-083  (Poster presentation)

種分布モデルを用いた日本の植物社会学的植生単位の分布変遷推定
Estimating distribution changes of phytosociological vegetation units in Japan using a Species Distribution Model

*設樂拓人(森林総合研究所), 津山幾太郎(森林総合研究所), 百原新(千葉大学), 松井哲哉(森林総合研究所)
*Takuto SHITARA(FFPRI), Ikutaro TSUYAMA(FFPRI), Arata MOMOHARA(Chiba University), Tetsuya MATSUI(FFPRI)

現在の日本の森林植生は、特定の植物群落にのみ出現する植物種群「標徴種」とその組み合わせ(種組成)に基づく植物社会学的手法により様々な「群集」に分類されてきた。さらに各群集は群団、オーダー、クラスと呼ばれる上級単位に統合され、整理されてきた。このような森林植生がどのように確立されたのかを解明することは日本の森林植生を理解する上で重要な課題である。日本の森林植生の変遷過程については、花粉化石や大型植物化石による研究によって明らかにされてきた。さらに、近年では、生物種の潜在生育域を統計学的手法から推定する種分布モデルにより、対象種の分布に影響を与える環境要因の特定や分布変遷に関する研究が進められてきた。そして、日本では最終氷期最盛期(約22000年前)以降、大規模な植生変遷が起きたことが明らかになりつつある。しかし、従来の種分布モデルの研究は、森林植生の優占種や主要構成種に焦点を当てた研究が多く、植物群落レベルでの植生変遷は十分に研究されていない。本発表では、最終氷期最盛期以降の気候変化がが日本の森林植生に与えた影響を予測するために、環境省の2万5千分の1、5万分の1、宮脇(1980 -1988)による植生図をもとに植物社会学的分類に基づいた森林植生(13群団)の分布データの整備を行い、①群団ごとの分布を規定する気候要因の特定と②群団ごとの最終氷期最盛期と現在の時代の潜在分布域を比較し、最終氷期最盛期、完新世中期、現在の日本の森林植生の分布変遷過程を検討した。


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