| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-127  (Poster presentation)

効果的な緑化材料の提案に向けたつる性植物の光合成機能評価
Evaluation of Photosynthetic Functions of Lianas for Proposing Effective Greening Material

*大西真奈美, 半場祐子(京都工芸繊維大学)
*Manami ONISHI, Yuko HANBA(Kyoto Institute Of Technology)

【目的】都市域の緑被地が限られる空間において、壁面緑化をはじめとした、人工物につる植物を這わせる緑化手法が注目されている。フェンス等につる植物を這わせたロードトレリスは東京都において実用化されており、テイカカズラが用いられている。しかし、つる植物の個体ベースでの生活史や生態については不明な点が多い。また、都市環境に植栽する樹種の選定法や維持管理法に関する情報の多くは、経験知のまま整理されていないことが多い。本研究では今後更に普及が期待できるテイカカズラと、比較対象として、現在広く利用されているセイヨウキヅタを用い、効果的な緑化材料としてつる植物を用いるための方法について評価した。
【材料と方法】圃場にて各種4個体ずつ栽培し、6月から10月にかけて実験を行った。ガス交換測定により、光合成速度(A400)、最大カルボキシル化速度(Vcmax)、チラコイド膜の電子伝達速度(J)、気孔コンダクタンス(gs)、水利用効率(WUE)を算出し、葉の形態観察を行った。また、総合地球環境学研究所にて炭素安定同位体比を測定した。
【結果】A400VcmaxJgsはいずれも6~8月は種間差が見られず、9月と10月にセイヨウキヅタのほうが高くなる傾向が見られた。なお、有意差が見られたのはVcmaxの10月とgsの9月のみであった。
【考察】テイカカズラは実験期間を通して葉の一部や茎が赤化していた。赤化葉はクロロフィルの減少とアントシアニンの蓄積により光保護能力を得る(Zeliou et al. 2009)。また、テイカカズラの葉からはアントシアニンの生合成に関与する物質が単離されている(稲垣ら 1973)。このことから、6月から8月のストレス要因の多い環境では、セイヨウキヅタは光保護能力を持たないため本来の光合成機能を発揮できないが、9月・10月のストレス要因の少ない環境では光保護能力が無くても光合成能力を発揮でき、テイカカズラに比べて各光合成パラメータの値が高くなったと考えられる。


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