| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-128  (Poster presentation)

アラカシとコナラの光合成への低温処理の影響
Effects of low temperature on photosynthesis of Quercus glauca and Quercus serrata

*小野清美(北海道大学)
*Kiyomi ONO(Hokkaido Univ.)

コナラ属の常緑樹であるアラカシは暖温帯に、落葉樹であるコナラは暖温帯から冷温帯に広く分布する。これまでの結果から、コナラ属のアラカシやアカガシのような常緑広葉樹、ミズナラのような落葉広葉樹とも、日長一定条件下、10度前後の低温環境では、展葉(シンク)の成長が抑えられ、落葉が抑えられた。一方、常緑広葉樹アラカシ苗木を、温度制御をかけていないガラス室で栽培した場合、冬季に気温が大きく低下し、最低気温が氷点下になる時期には、光合成能力が低下した1年葉(古い葉)の光化学系IIの最大量子収率(Fv/Fm)のさらなる低下が見られ、最高気温が氷点下になる時期には当年葉のFv/Fmも低下し、土壌凍結の影響もうけて、落葉前に葉は枯死した。極端な低温環境では、光合成能力の低い古い葉の方が、低温ストレスの影響を受けやすい可能性が示された。これまで常緑広葉樹での様々な葉齢の葉の低温ストレスによる葉の老化や葉寿命への影響を調べるために、高さ30cm程度の苗木を用いて実験していたが、シンク・ソースの影響もあり複雑になるため、今回の実験では、常緑広葉樹としてアラカシの実生と、落葉広葉樹としてコナラの比較的小さい苗木を用いて、環境制御下でアラカシとコナラに同時に低温ストレスをかけたときに、同じコナラ属である常緑広葉樹と落葉広葉樹で光合成の応答に違いが見られるのかを調べた。昼20度/夜18度の環境制御下で生育したアラカシとコナラの一部を12度/8度の環境制御下に移した。この処理ではアラカシ、コナラともにFv/Fmの低下は見られなかった。さらに12度/4度と気温を下げたところ、両者ともにFv/Fmの低下が見られたが、アラカシの方の低下が早かったが、処理期間が長くなるとアラカシとコナラの葉は同程度の値を示した。併せて測定した光合成活性やSPAD値の結果とともに、低温ストレスへの影響を議論する。


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